滞納には要注意! 社用車に関する自動車税等の実務
自動車税および軽自動車税は、個人名義の自動車だけでなく、会社で使用する法人名義の自動車にも課税されます。これらの税金は、原則として毎年4月1日現在の所有に対して課税される地方税です。滞納した場合には延滞金が発生するほか、納税確認ができないため自動車検査証を受けることができないといった事態が生じる可能性があります。本記事では、自動車税と軽自動車税の違い、課税の仕組み、納付時期等について解説します。 💡この記事のポイント  ☑自動車税等は毎年4月1日現在の登録上の所有者等に課税される。  ☑自動車税は自動車の名義になっている個人または法人にかかる。法人が使用している業務用の自動車でも、個人名義であればその個人が税を負担する。  ☑滞納した場合、延滞金が発生し自動車検査証を受け取ることができない可能性がある。 目次 閉じる開く 1.法人における自動車税・軽自動車税とは? (1) 自動車税や軽自動車税はどのようなときに課税される? (2) 自動車税・軽自動車税の種類 (3) 自動車税と軽自動車税の主な概要 (4) 標準税率 2.自動車税・軽自動車税の納税方法 (1) 納税通知書が届く (2) 金融機関やキャッシュレス決済などで納税する 3.滞納するとどうなる? (1) 未納があると自動車検査証を受けられない可能性がある (2) 会社の財産を差し押さえられる可能性がある 4.2026年(令和8年)度税制改正における変更点 (1) 「環境性能割」の見直し (2) 軽油引取税の暫定税率廃止 (3) 2028年(令和10年)以降のEV・PHVに係る課税の見直し 5.実務に役立つ! 自動車税と軽自動車税のチェックポイント (1) 4月1日前に登録名義・使用者情報を確認 (2) 納税通知書の送付先住所を確認 (3) キャッシュレス決済の準備 6.まとめ 1.法人における自動車税・軽自動車税とは? (1) 自動車税や軽自動車税はどのようなときに課税される?  会社が業務で使用する自動車や軽自動車を持っている場合、自動車税や軽自動車税がかかります。納税義務者は、原則として毎年4月1日現在の登録上の所有者(または使用者)です。例えば、会社で使用している自動車の名義が法人であれば法人が、経営者などの個人名義であれば、税はその個人にかかります。  自動車税や軽自動車税は「毎年4月1日現在の所有に対して課税される年税」です。自動車の保有者には毎年納税通知書が届くため、その通知書をもとに税を納めることになります。 (2) 自動車税・軽自動車税の種類  自動車税と軽自動車税の詳細は以下の通りです。特に自社が自動車を保有している場合、または今後取得を考えている場合、内容を把握できていると整理がつきやすくなります。 自動車の種類 税種別 かかる税目 どんなときにかかるか 普通自動車・三輪以上の小型自動車 自動車税 都道府県税 毎年4月1日現在の所有 軽自動車 軽自動車税 区市町村税 毎年4月1日現在の所有 【出典】東京税務協会「令和7年度版 わかりやすい自動車税」 (3) 自動車税と軽自動車税の主な概要  自動車税と軽自動車税の違いは以下の通りです。納税方法などに違いがあるため、納税前に自社の車種を確認したうえで、納税方法について確認しておきましょう。  ①自動車税  1)概要  自動車の種別、用途、総排気量、最大積載量、乗車定員その他の諸元の区分に応じ、自動車に対して課税する自動車税のこと。  2)納付について  送付される納税通知書で、納期限までに納める。  ②軽自動車税  1)概要  毎年4月1日現在の原動機付自転車、特定小型原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車、二輪の小型自動車の所有者に課税される。割賦販売の場合は買主が所有者とみなされ、納税義務者となる。  2)納付について  お住まいの区市町村から送付される納税通知書に従って納税する。 【出典】東京税務協会「令和7年度版 わかりやすい自動車税」 (4) 標準税率  自動車税は地方税に該当し、標準税率が「地方税法」で定められています。条例による標準税率を超える場合などを除いて、地方税法に基づく標準税率が適用されます。  例えば、以下の表は、法人が保有する営業用の乗用車の標準税率です。自社で使用している自動車にはいくらの税率がかかるのか、確認しておきましょう。  ■乗用車(三輪の小型自動車であるものを除く)   ○営業用   ①総排気量が1リットル以下のもの 年額 7,500円   ②総排気量が1リットルを超え、1.5リットル以下のもの 年額 8,500円   ③総排気量が1.5リットルを超え、2リットル以下のもの 年額 9,500円   ④総排気量が2リットルを超え、2.5リットル以下のもの 年額 13,800円   ⑤総排気量が2.5リットルを超え、3リットル以下のもの 年額 15,700円   ⑥総排気量が3リットルを超え、3.5リットル以下のもの 年額 17,900円   ⑦総排気量が3.5リットルを超え、4リットル以下のもの 年額 20,500円   ⑧総排気量が4リットルを超え、4.5リットル以下のもの 年額 23,600円   ⑨総排気量が4.5リットルを超え、6リットル以下のもの 年額 27,200円   ⑩総排気量が6リットルを超えるもの 年額 40,700円 【出典】e-Gov 法令検索「地方税法 | e-Gov 法令検索」  乗用車以外の営業用の自動車税については、以下の法令で最新情報を確認しておきましょう。  税務研究会「地方税法 第177条の7 種別割の標準税率 | 法令集」 2.自動車税・軽自動車税の納税方法  次に、自動車税や軽自動車税の具体的な納税方法について解説します。納税が完了するまでの手続きと流れを見ていきましょう。 (1) 納税通知書が届く  納税義務者には納税通知書が届きます。送付時期は自治体によって異なりますが、5月上旬頃に送付される自治体が多いです。この納税通知書に従って、納付手続きを実施します。  この納税通知書は納税義務者宛に送付されます。自動車を複数台所有している場合、車両ごとに発行されるのが一般的ですが、法人の場合は一覧形式で送付されることもあります。1台ずつ確認した上で、納税手続きを進めていきましょう。 (2) 金融機関やキャッシュレス決済などで納税する  手元にある納税通知書をもとに、銀行などの金融機関や郵便局、インターネットバンキング、口座振替などで支払いを行うことになります。納期限は一般的に5月末になりますが、必ず納税通知書に記載されている納期限を確認しましょう。  支払いに使用した書類などは必ず保管して、納税完了の証明ができる状態にしましょう。決済方法によっては、自治体側での納税確認に数日かかる場合もあるため、期日には余裕を持って納税しましょう。  2023年(令和5年)からは、納付書に記載されている地方税統一QRコード(eL-QR)やeL番号を使って、スマートフォンやパソコンから納税できるサービスが開始されています。地方税の支払いが可能な専用サイト(下記参照)では、納付書に印字されたeL-QRやeL番号で自動車税などを納税することができます。複数台の自動車税・軽自動車税を支払う際も、eL-QRやeL番号を入力することでそれぞれ納税することが可能です。 出典:地方税共同機構「トップページ - 地方税お支払サイト」 ※QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標です  なお、自治体によっては、キャッシュレス決済では「領収証書や自動車検査証用の納税証明書は送付しない」と明記している場合があります。もし納税証明書等が必要であれば、決済完了画面や履歴のスクリーンショット、地方税お支払サイトの納付完了画面などで控えを保存しておくと安心です。 3.滞納するとどうなる? (1) 未納があると自動車検査証を受けられない可能性がある  自動車税や軽自動車税を納期限までに納税しなかった場合、自治体から督促状が送付され、納税の催告が行われます。延滞金は、納期限の翌日から完納日までの日数に応じて、地方税法で定められた割合により計算されます。  また、自動車税や軽自動車税の未納がある場合、車検時に納税確認ができないので、自動車検査証を受けることができなくなる可能性があります。 (2) 会社の財産を差し押さえられる可能性がある  督促状が届いても納税しなかった場合、滞納処分である財産の差押えが行われる可能性があります。  具体的には、個人の場合は金融機関・勤務先・取引先等に対して財産を調査し、給与、売掛金、預貯金、生命保険、自動車等の差押えが行われます。法人の場合には、「法人の財産」である預貯金や売掛金、不動産、社用車等の動産が差押えの対象になり得ます。  滞納をした場合の差押えに関する詳細は、各自治体のホームページ等を確認しておきましょう。 4.2026年(令和8年)度税制改正における変更点  2026年(令和8年)度税制改正では、自動車税・軽自動車税に関し、今後の運用に関して方針の変更が盛り込まれました。本項では主な改正点について解説します。 (1) 「環境性能割」の見直し  自動車税と軽自動車税における「環境性能割」が見直され、廃止されました。(2026年(令和8年)4月1日施行)。「環境性能割」とは、自動車や軽自動車を取得したときに、燃費基準値達成度等に応じて課税される税金のことです。  これにより、ガソリン車を含むほぼすべての新車や中古車について、購入時の税負担が軽減されています。 (2) 軽油引取税の暫定税率廃止  2026年(令和8年)度税制改正により、軽油引取税のいわゆる暫定税率が廃止されています(2026年(令和8年)4月1日)。  軽油の税負担が軽減され、運送業・建設業など軽油使用量が多い業種では、燃料単価の変動が原価に直結します。制度の施行時期や取引単価への反映を見込み、原価計算の前提(燃料単価)を更新しましょう。 (3) 2028年(令和10年)以降のEV・PHVに係る課税の見直し  2026年(令和8年)度税制改正大綱では、総排気量の区分がない電気自動車(燃料電池車を含む)の乗用車について、自動車税の課税方式を見直し、2028年(令和10年)度以後に新車新規登録を受けた車は車両重量に応じた課税方式が導入されました。  また、EV・PHVについて、車検時に納める自動車重量税に「特例加算」を上乗せする仕組み(自動車重量税の特例加算分として徴収)が創設されました。いずれも具体的な税率等は今後の検討事項とされているため、制度化の状況を確認し、車検費用やリース料への影響も見込んで資金計画を立てましょう。 5.実務に役立つ! 自動車税と軽自動車税のチェックポイント  自社で営業用の自動車や軽自動車を持つ会社向けにチェックポイントを示します。自動車税や軽自動車税の納税に関して、実務上チェックしておくべきことを確認しましょう。 (1) 4月1日前に登録名義・使用者情報を確認  社用車にかかっている自動車税・軽自動車税は、原則として毎年4月1日現在の登録上の所有者(または使用者)に課税されます。つまり、3月中に売却したつもりでも名義変更が終わっていないと、4月1日時点ではまだ自社や社長個人が登録されているため、納税通知書が届くことがあります。所有者が社長個人のままになっていないか、あるいは使用者が自社になっていないかなどを確認しましょう。  リースや割賦購入の場合は、所有者がリース会社・販売会社、使用者が自社という形もあります。リース契約の内容によっては納税義務者が異なるため、契約書を確認しておきましょう。名義や住所にズレがある場合は、3月中に手続きまで終えていれば安心です。 (2) 納税通知書の送付先住所を確認  納税通知書が届く住所が、現在の本店所在地(または事業所)になっているかを必ず確認しましょう。引っ越しや本店移転をしても、車の登録情報(自動車検査証の住所)を変更していないと、通知書が旧所在地に届いてしまい、手元に来るのが遅れたり、気づかないまま納期限が過ぎて未納扱いになるリスクがあります。  郵便の転送だけに頼るのはリスクがあります。転送期限が切れていたり、転送されない郵便物が混じったりすることがあるからです。  「自動車検査証の住所」「納税通知書に印字された送付先」「会社の現住所」の3点が一致しているかを見ておくと安心です。社用車が複数台ある会社であれば、移転時のチェック項目に「車の住所変更」を入れておきましょう。 (3) キャッシュレス決済の準備  納税時はクレジットカード、インターネットバンキング等で支払うことも可能ですが、キャッシュレスで納付する前に通知書の届く住所の確認をして「納付書が確実に手元に来る状態」を作りましょう。そのうえで、納付書に二次元コードや番号が印字されていれば、スマートフォンやパソコンから支払えるケースが増えています(詳細は自治体や納付書の形式で異なるため、調べておくと安心です)。法人名義の車であっても、納付書が手元にあれば支払えるケースがあり、経理担当が社内から処理できるのがメリットです。  しかし、キャッシュレス納付は紙の領収書が出ない場合があるため注意が必要です。納税の証拠として「支払い完了画面」「決済履歴」「カード明細・口座明細」をPDF保存し、車両ごとのフォルダに保管する運用がおすすめです。社用車が多い会社は、納税通知書が届いたら①車両特定→②支払→③証憑保存→④台帳にチェック、の4ステップをルール化すると、払い忘れや二重払いなどの支払いに関するミスを防ぐことができます。 6.まとめ  自動車税や軽自動車税は、個人だけでなく営業車・社用車などの会社名義の車にもかかる地方税です。原則4月1日時点の所有者に課税され、納期限は概ね5月末までです。  2026年(令和8年)度税制改正で、環境性能割が廃止され、また燃料課税の整理、2028年(令和10年)5月以降のEV・PHVに重量税の特例加算案などが検討されています。  年度替わり前の名義や住所の確認、証憑の保存をチェックし、社用車台帳で管理するなど、社内ルールとして明文化しておくと効果的です。 【参考資料】 ・財務省「令和8年度税制改正の大綱」 ・国土交通省「自動車:自動車関係税制について (エコカー減税、グリーン化特例 等) - 国土交通省」 ・総務省自治税務局企画課「地方税における収納・徴収に関する取組について(参考資料)」 ・国税庁「No.7192?自動車重量税のあらまし|国税庁」 ・地方税共同機構「トップページ - 地方税お支払サイト」 ・一般社団法人 全国銀行協会「固定資産税や自動車税はスマホやPCからキャッシュレス納付を! | F.銀行で手続き | 一般社団法人 全国銀行協会」 ・東京税務協会「令和7年度版 わかりやすい自動車税」 ・東京税務協会「自動車税に関する事業|東京税務協会 - 税のお役に立ちます」 ・東京都主税局「自動車税種別割|自動車と税金|東京都主税局」 ・静岡県「自動車税種別割をまだ支払っていない人へ|静岡県公式ホームページ」 ・愛知県自動車販売店協会「自動車に関する税金が、2026年度から大きく変わります。(令和8年度税制改正大綱の概要) | 愛知県自動車販売店協会(略称:愛自販) 愛知県自動車販売店協会(略称:愛自販)」 ・板橋区「特別区民税・都民税・森林環境税、軽自動車税(種別割)の滞納と延滞金について|板橋区公式ホームページ」 ・e-Gov 法令検索「地方税法 | e-Gov 法令検索」 ・税務研究会「地方税法 第177条の7 種別割の標準税率 | 法令集」 記事提供 株式会社TKC出版  1万名超の税理士および公認会計士が組織するわが国最大級の職業会計人集団であるTKC全国会と、そこに加盟するTKC会員事務所をシステム開発や導入支援で支える株式会社TKC等によるTKCグループの出版社です。  税理士の4大業務(税務・会計・保証・経営助言)の完遂を支援するため、月刊誌や映像、デジタル・コンテンツ等を制作・提供しています。
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