2026年10月01日

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経営者が押さえておきたい「法定調書」のキホン

経営者が押さえておきたい「法定調書」のキホン

年末から年始にかけての重要な業務の一つが「法定調書の作成・提出」です。本稿では、経営者が押さえておきたい法定調書の役割と、一般的な企業が提出すべき主な書類など基本的な内容について解説します。

💡この記事のポイント
 ☑法定調書は「支払者等が誰にいくら払ったか」を税務署に報告する書類
 ☑一般的な企業に関連するのは6種類
 ☑「給与」や「報酬」等を支払っている場合は提出義務者であるか要確認

1.法定調書は「お金を支払った」事実を記載する書類

法定調書は「お金を支払った」事実を記載する書類

 法定調書とは、所得税法などの法律に基づき、給与や報酬などを支払った企業や個人事業主が税務署に提出しなければならない書類の総称です。
 国税庁が定める法定調書は全部で63種類ありますが(No.7401 法定調書の種類|国税庁)、金融機関や不動産会社など特定の業種のみに義務付けられているものも多く、一般的な企業が日常業務に関連して提出するのは、主に以下の6種類です。

(1) 従業員に関するもの(源泉徴収票)

 ①給与所得の源泉徴収票
 従業員(正社員・パート・アルバイト等)に支払った1年間の給与や賞与の総額、源泉徴収税額を記載した書類です。年末調整の有無や、年間の支払給与額によって、提出すべきかどうかの基準が定められています。
 ②退職所得の源泉徴収票
 退職者に対して退職金を支払った際に作成します。原則として、退職金を受け取ったすべての受給者分を提出しなければなりません。

(2) 外部専門家・フリーランスに関するもの(支払調書)

 ③報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
 税理士や弁護士への報酬、個人のデザイナーやライターへの原稿料などを支払った際に作成します。同一人物に対して、年間5万円を超える支払い(外交員やホステス等の場合は50万円超など)があった場合に作成、提出します。

(3) 不動産に関するもの(支払調書)

 ④不動産の使用料等の支払調書
 事務所の家賃、駐車場の賃借料、更新料や礼金などを支払った際に作成、提出します。同一人物に対する年間支払額が15万円を超えた場合の作成・提出します。ただし、貸主(家主)が法人の場合、権利金や更新料等の支払いを除き、通常の家賃や賃借料のみの支払いであれば、この調書の提出は不要となります。
 ⑤不動産等の譲受けの対価の支払調書
 土地や建物などの不動産を購入(譲り受け)し、同一人物へ年間100万円を超える支払いをした場合に作成、提出します。
 ⑥不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書
 不動産の売買や賃貸の仲介手数料として、年間15万円を超える支払いをした場合に作成、提出します。

2.なぜ法定調書を作成・提出するのか

なぜ法定調書を作成・提出するのか

 これらの法定調書の主な目的は、「誰に、いくら支払ったか」を国(税務署)に正確に報告することにあります。退職した従業員や短期間のアルバイトであっても、一定の条件に該当すれば提出対象となるため、漏れには十分注意が必要です。
 税務署は、提出された法定調書と、個人の確定申告の内容を突き合わせることで、所得の申告漏れや不正を防ぎ、公平で適正な課税を行っています。提出期限は、原則として支払いを行った年の翌年1月31日です。
 年末調整業務が終わってからそれほど間もないタイミングで提出期限が到来するため、特に中小企業等では実務担当者が負担を感じるケースも少なくないようです。法定調書の提出は、余裕を持った事前準備が不可欠となります。

3.提出義務があるのは誰なのか

 法定調書の提出義務者は、次のように定められています。

■主な法定調書の提出義務者
①「給与所得の源泉徴収票」は、居住者に対して俸給、給料、賃金、歳費、賞与その他これらの性質を有する給与の支払をする方です。ただし、令和9年1月1日以後、市区町村に「給与支払報告書」を提出した場合には、税務署に「給与所得の源泉徴収票」を提出する必要はありません。詳しくは下記国税庁サイトを参照してください。
源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ|国税庁

②「退職所得の源泉徴収票」は、居住者(令和7年12月31日以前に支払が確定した場合には法人の役員に限ります。)に対して退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与の支払をする方です。ただし、死亡退職により退職手当等を支払った場合は、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになりますので、「退職所得の源泉徴収票」は提出する必要はありません。

③「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、外交員報酬、税理士報酬など所得税法第204条第1項各号ならびに所得税法第174条第10号および租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金および賞金の支払をする方です。

※④~⑥は省略

【出典】国税庁「No.7400 法定調書の提出義務者|国税庁」

4.まとめ

 特に中小企業の場合、法定調書の作成・提出がおろそかになりがちなこともあるようです。しかし、近年は企業のコンプライアンス(法令遵守)がますます重視されており、法定調書は適切に作成、提出しなければなりません。どの支払いが対象になるかの判定には専門的な知識も必要になるため、疑問点があれば早めに顧問税理士等の専門家に相談し、ミスのないように対応を進めましょう。
 なお、法定調書の電子提出の義務化については、下記を参照してください。
令和9年から法定調書の電子での提出が義務化!その対象は? 税理士事務所検索 myTaxPro マイタックスプロ

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