ほとんどの経営者は、損益計算書(P/L)の「売上高」や本業での儲けを示す「営業利益」に強い関心があるでしょう。しかし、企業が持続的に成長し、不測の事態に耐えうる強靭な財務体質を築くためには、「営業外収益」も軽視はできません。本稿では、本業以外の収益力を示す「営業外収益」について、会計上の扱いや経営戦略上の論点を解説します。
💡この記事のポイント
☑「真の稼ぐ力」は営業外収益が含まれる
☑ポイントは「継続的な収益」であるかどうか
☑豊富な「営業外収益」は金融機関からの評価にもつながる可能性も
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1.営業外収益とは本業以外からの収益のこと
損益計算書における営業外収益とは、企業が日常的に行う本来の営業活動(商品の販売やサービスの提供など)以外の源泉から「継続的に」得られる収益のことです。これらを本業の売上から明確に切り離すことで、事業そのものがどれだけの収益を生み出しているのかという、「真の稼ぐ力」を把握することができます。
営業外収益の代表的な項目としては、以下のようなものがあります。
(1) 受取利息・受取配当金
財務活動や投資活動の成果として得られる収益です。これらの金融収益は、あらかじめ所得税などが源泉徴収(控除)された後の金額で受け取ることが一般的です。
(2) 為替差益
外貨建ての取引や金銭債権債務の決済・評価替えによって生じる利益です。会計処理においては、為替差損が発生している場合、それらと相殺した純額として表示することが原則です。
(3) 不動産賃貸料
本業が不動産業ではない場合、不動産の運用等による投資から得られる収益です。
なお、営業外収益のうち、上記の受取利息・受取配当金、為替差益、不動産賃貸料等に該当しないもの、あるいは金額が少額なものは「雑収入」といいます。雑収入には下記のようなものがあります。
〈雑収入の一例〉
・社宅家賃収入
・貯蔵品等の処分
・生命保険金等の配当金
・自動販売機の等の手数料 など
雑収入については、次の記事も参照してください。
この取引は「雑収入」か「営業外収益」か? ~適切な会計処理で決算書を自社の経営に活かそう~ 税理士事務所検索 myTaxPro マイタックスプロ
2.継続的な収益であるかどうかが重要
上記のような収益から、借入金利息などの「営業外費用」を差し引いて、残った金額が「営業外損益」です。そのため、営業外収益よりも営業外費用が多い場合、営業外損益はマイナスになります。
前述のとおり、営業外収益は本来の営業活動による「営業利益」とは別のものとされ、営業利益から営業外損益を足した(引いた)のが「経常利益」です。営業外収益は、本業による収益ではないものの、ある程度継続性があるため、会社の「常態的な利益」である経常利益には含まれているわけです。
さらに、経常利益から、企業の通常の事業活動とは無関係に、その期だけに例外的に発生した臨時的な損益である「特別損益」を足した(引いた)金額が、「税引前当期純利益」となります。
3.経営戦略の視点で営業外収益を考える
営業外収益の会計上の扱いを理解した上で、経営者として知っておきたいポイントを解説します。
(1) 金融機関からの評価
金融機関から借入をする際には、営業利益はもちろん、経常利益もチェックされます。なぜなら、経常利益こそが「毎期安定して返済に充てられるキャッシュの源泉」だからです。仮に、本業の調子が悪く、営業利益が一時的に減っていても、有価証券からの配当金や投資用不動産からの安定した賃貸収入といった営業外収益があれば(=経常利益が黒字なら)、信用力を高める要因の1つになり得るからです。
その結果、有利な条件での資金調達ができる可能性が高まります。
(2) 余剰資金等の有効活用
現在のインフレ傾向の経済環境下において、現金をただ当座預金に眠らせておくことは、実質的な価値の目減りを意味します。当面の運転資金や不測の事態に備えた予備的な現金は必要ですが、それでも残った「余剰資金」や「遊休不動産」等があるならば、安全性の高い債券や高配当株式あるいは不動産賃貸などに回すという方法も考えられます。
もちろん利益が減ってしまっては元も子もないですが、余剰資金等を使い営業外収益を創出することも、経営者の手腕の1つです。
4.まとめ
営業外収益の会計上の位置づけと経営者が知っておきたいポイントをまとめました。いうまでもありませんが、まずは本業における売上と営業利益を増やすことが最優先です。しかし、もし余剰資金や遊休不動産等があり、本業と並行して営業外収益経を増やせる可能性があるのなら、それも検討をしてみることも必要です。
ただし、手元の資金は十分なのか、本業への投資を優先する必要はないのか、本当に利益につながるのかなど、慎重な判断が必要です。必ず顧問税理士に相談し、中長期的な企業価値の向上につながるかどうかを確認してから実施しましょう。
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