2026年08月14日

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物価高を乗り越える! 「固定費見直し」のコツと注意点

物価高を乗り越える! 「固定費見直し」のコツと注意点

物価高騰や人件費の上昇など、中小企業を取り巻く環境はますます厳しさを増しています。「なんとか売上は維持しているのに、以前より手元に残るお金が少ない」と悩んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。確実かつ即効性のある利益創出の手段が「固定費の削減」です。本記事では、無駄なコストを見直すための具体的なステップや、社長が注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

💡この記事のポイント
 ☑固定費の削減は「即効性のある利益創出」手段となる
 ☑短期で削減可能なものから、4つのステップで進めよう
 ☑「削減してはいけない固定費」に要注意

1.固定費の削減が重要な理由とは

 利益を増やすためのアプローチは、大きく分けて「売上を上げる」か「経費(変動費・固定費)を下げる」かの2つしかありません。しかし、新たな顧客を開拓し売上を伸ばすには、多大な時間と労力、そして先行投資が必要です。
 一方で、「固定費」の削減は、実行した翌月から確実に営業利益を押し上げる「即効性」を持っています。例えば、限界利益率(粗利率)が20%の企業が、固定費を月10万円(年間120万円)削減できた場合、それは年間600万円の売上アップと同じだけの利益創出効果を持ちます。

2.コントロール可能かどうかを見極めよう

 一般的に、経費は「変動費」と「固定費」に分類できます。
 ・変動費: 仕入原価や外注加工費、販売手数料など、売上の増減に比例して変動する費用。
 ・固定費: 人件費、家賃、通信費、保険料、リース料など、売上がゼロでも毎月必ず発生する費用。
 変動費を削減するためには、仕入値との交渉が必要になるなど、容易ではありません。しかし固定費の中には、「自社の決断」だけで削減できるものがあります。物価高の時代において、固定費を最小限に抑えることは、企業が生き残るための防衛策といえます。「うちの会社には無駄な経費などない」とお考えの社長もいらっしゃるかもしれません。しかし、固定費は経営者が意識していないところで、少しずつ肥大化していく性質を持っています。例えば、過去に契約したまま誰も使っていないシステム利用料や、従業員が減ったのに広いままのオフィスの家賃など、日々の業務に追われていると「毎月引き落とされていること」自体を意識しなくなります。これが、無意識に固定費が増加する最大の理由です。固定費を見直す際、経営者がまずやるべきことは「コントロール可能なもの」と「不可能なもの」を見極めることです。

■固定費の具体例と見直しの難易度

分類 具体例 見直しの難易度と
アプローチ
コントロール困難 法定福利費、税金、
減価償却費
法律等に基づくため短期的な削減はほぼ不可能。ここに時間をかけない。
中長期で
コントロール可能
人件費(基本給)、
オフィス家賃
法律や契約の縛りがあるため、中長期的な戦略が必要。
短期でコントロール可能 通信費、保険料、サブスクリプション、消耗品費 解約手続きなどだけで、翌月からすぐに削減可能。

 社長がまず検討すべきなのは、「短期でコントロール可能」な固定費です。削減の実現が困難な固定費ではなく、まずは手をつければ確実に下がる部分からメスを入れていくことが鉄則です。

3.固定費見直しの「4つのステップ」

 固定費の削減は、以下の4つのステップで進めるとよいでしょう。

固定費見直しの「4つのステップ」

◎ステップ1:全体の可視化(一覧化)
 まずは現状を把握します。過去1年間の総勘定元帳や預金通帳、クレジットカードの明細等をチェックし、「毎月(毎年)決まって支払っているもの」をリストアップします。この「見える化」の段階で、「これに毎月○万円も払っていたのか?」という気づきが必ず生まれます。
◎ステップ2:必要性の検証(ゼロベース思考)
 リストアップした項目に対して、「過去から払っているから」という前提を捨て、「本当に今の自社の売上や社員のモチベーションに貢献しているか?」をゼロベースで検討します。その際、「絶対に必要なもの」「代替可能なもの」「不要なもの」の3つに仕分けしましょう。
◎ステップ3:優先順位付け
 仕分けた項目を「削減効果(金額の大きさ)」と「実行のしやすさ(手間の少なさ)」の2軸で評価し、優先順位をつけます。
 優先度【高】:削減効果が大きく、実行が容易(例:不要な高額システムの解約等)
 優先度【低】:削減効果は小さいが、実行が容易(例:携帯電話プランの変更等)
◎ステップ4:削減・見直しの実行
 優先度の高いものから、期日を決めて具体的なアクション(解約手続き、相見積もりの取得、プラン変更)を実行します。

4.具体的な見直し項目と削減のヒント

 次の4つの固定費について、具体的な削減の考え方をご紹介します。

(1)通信コスト(スマホ・インターネット)

 数年前に契約したままの法人用スマートフォンやインターネット回線は「削減できない経費」と考えてしまいがちです。しかし、例えば格安SIMへの乗り換えや、不要なオプション(使っていないテザリング機能や大容量プラン)を外すだけで、1台あたり数千円、従業員が多ければ年間数十万円の削減につながる可能性があります。

(2)サブスクリプション(月額課金サービス)

 例えば、「いつか使うかも」と考えて契約したままの画像・動画編集ソフトなどでは、退職した社員のアカウントがそのまま課金され続けているケースが散見されます。定期的にアカウントの棚卸しを行いましょう。

サブスクリプション(月額課金サービス)

(3)複合機のリース料

 ペーパーレス化が進む現在、昔ながらの大型複合機は本当に必要でしょうか? 最新の小型プリンタや、印刷枚数に応じた従量課金プランへの変更、あるいはリース期間終了時の交渉などで、コストを下げられる可能性を探りましょう。

(4)人件費(基本給)

 人件費(基本給)は、「中長期でコントロール可能」な固定費に分類されている通り、簡単に削減できるわけではありません。しかし、「効率化」あるいは「適材適所」によって削減の可能性が高まります。
 例えば、営業スタッフが事務作業に追われているなら、その業務をRPA(自動化ツール)や事務代行に外注した方が、トータルコストが下がる可能性はないでしょうか? 正社員の残業代と、自動化ツールの導入費あるいは外注費を比べて、人件費削減の可能性を検討しましょう。

5.安易な削減は逆効果!

 固定費削減を進める上で、経営者が絶対にやってはいけないことが2つあります。
 その1つが、「社員のモチベーションを削ぐ安易な削減」です。例えば、トイレットペーパーの質を落とす、社員が無料で使えるウォーターサーバーを撤去する、夏場のエアコンの温度を厳しく制限する、といった固定費削減方法です。
 こうした「現場の快適さ」を奪う削減は、金額的な効果が微々たるものであるにもかかわらず、「社員を大切にしない」というメッセージを与えることになり、モチベーションが下がります。その結果、生産性が下がったり、離職に繋がったりすれば、採用・教育コストという新たな固定費が発生し、本末転倒です。
 もう1つが、未来の売上につながる「必要な経費の削減」です。広告宣伝費、営業活動に必要な交際費、社員のスキルアップのための研修費など、「未来の売上や成長を生み出すための費用」まで削減してしまうと、企業の成長が止まってしまいます。
 固定費削減の真の目的は、単にお金を使わないことではなく、「無駄なお金の流出を止め、生み出した利益を社員への還元や未来への投資に回すこと」です。社長が「なぜ今、コストを見直すのか」「浮いたコストで会社をどう良くしていきたいのか」という前向きなメッセージを社員と共有し、全員参加で「利益を生み出しやすい、筋肉質な強い会社」を作り上げていきましょう。

株式会社TKC出版

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株式会社TKC出版

 1万名超の税理士および公認会計士が組織するわが国最大級の職業会計人集団であるTKC全国会と、そこに加盟するTKC会員事務所をシステム開発や導入支援で支える株式会社TKC等によるTKCグループの出版社です。
 税理士の4大業務(税務・会計・保証・経営助言)の完遂を支援するため、月刊誌や映像、デジタル・コンテンツ等を制作・提供しています。

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