2025年11月10日

FXクラウドシリーズ スマホで経費ユーザー事例 「ワコーコーポレーション株式会社 様」 経理業務の合理化を進めるドローン製作のエキスパート

FXクラウドシリーズ スマホで経費ユーザー事例 「ワコーコーポレーション株式会社 様」 経理業務の合理化を進めるドローン製作のエキスパート

左から泉水和幸社長、泉水優子取締役、重田加奈氏、藤谷英明税理士

ラジコンヘリコプター競技の元世界王者でもある泉水和幸社長が設立したワコーコーポレーションは、ドローンの試作や農薬散布ボートの製造を手掛ける企業である。税理士法人桜頼パートナーズ会計の藤谷英明税理士、同監査部の重田加奈氏らを交え、TKCシステムを通じた経理業務の効率化の現状などを聞いた。

──世界的なラジコンヘリコプターの選手だったそうですね。

泉水和幸社長 20歳ごろからラジコンヘリの選手として国内外の競技会に参加、日本選手権では5連覇を含め通算10度優勝、国際航空連盟が主催する世界大会のラジコンヘリコプター部門でも優勝経験があります。競技者として活動したのは1990年から2010年ごろまででしたが、それと並行してラジコンヘリ向けのオプションパーツを製造販売する会社を経営していました。メインローターやマフラー、ボディーなどトップ選手として活動していた私自身が自ら製作し、実際に競技会で使用し実績をあげたパーツでしたので、世界中に顧客がいました。

泉水和幸社長

泉水和幸社長

──ワコーコーポレーション設立の経緯を教えてください。

泉水社長 40歳を過ぎるようになってから、ラジコンの遠隔制御の技術を使ってより広い分野で貢献していきたいという思いが強くなり当社を起業しました。さまざまな活用方法を探索するなかで出会ったのが、水田に浮かべて遠隔で操作するコメ農家向けの農薬散布ボートです。協力会社のワイズファクトリーが販売を担い、当社が製造に専念することで約10年前から事業をスタート。おかげさまで累計1,400台の販売実績をあげています。

──得意のラジコンヘリやドローンではなくなぜボートにしたのですか。

泉水社長 もちろんドローンでの散布も検討しましたが、ボートにした最大の理由は、万が一落下した場合のリスクに敏感な農家の方が多かったことです。やはりラジコンヘリなど飛ぶ道具というのは、ネジ一本のゆるみでも落下のリスクが大きく高まります。二次被害などの保障の問題も考えなければなりません。ドローンを飛ばすとなると各種申請の手続きも発生します。私が最も得意なのはラジコンですが、落下のおそれがなく手軽に導入ができるボートにしぼってまずはスタートしました。

特許取得の粒剤散布装置を装着した農薬散布ボート

特許取得の粒剤散布装置を装着した農薬散布ボート

──製品について詳しく教えてください。

泉水社長 長さ約120センチ、幅約80センチのサイズで販売価格は84万円前後です。ガソリン駆動で満タンから1時間弱は動きます。また除草剤には液体のほかに粒状の粒剤と呼ばれる形状のものがありますが、当社の製品はオプションの散布装置を取り付けることにより、粒剤の除草剤も使用できるのが大きな特徴です。粒剤を空気で吸い上げ均一にまく特殊な機構で、特許も取得しています。

──コメ価格高騰の影響は?

泉水社長 これまで経験のないような利益を得たことで、機械を導入して少しでも効率的に一粒でも多く収量を上げたい、施肥や病害虫防除をしっかり行い少しでも多く1等級米を収穫したいなど、農家の方の設備投資への意欲が高まっています。当社の農薬散布ボートの引き合いもかつてないほど強くなっている状態です。

──ほかに手掛けている事業について教えてください。

泉水社長 夏場にカメムシ防除や病気予防などを目的とした無人ヘリによる農薬散布の業務を請け負っています。さらにその他の時期は、ドローンの試作案件をコツコツとこなしています。

──どんなドローンを試作していますか。

泉水社長 物流や測量用のドローンはもちろん、ソナーを搭載した水中ドローンを切り離して海底の三次元探査を行うことができる水陸両用のドローンなど、お客さまの事業内容によって種類はさまざまです。外側と内側のFRP(強化プラスチック)のボディーの間に発泡素材を挟み込んだサンドイッチ構造にすることで、軽さと強度を両立させるドローンを製作できるのが、最大の技術的な強みになっています。

本社内の作業場にはドローン試作用のパーツが並ぶ

本社内の作業場にはドローン試作用のパーツが並ぶ

1.「スマホで経費」の活用でオフィス内の書類数が激減

──税理士法人桜頼パートナーズ会計の藤谷英明先生と顧問契約を結んだ経緯を教えてください。

泉水優子取締役 以前経営していた会社で何度か税務調査が入った経験があり、より正確な申告業務をお願いできる税理士を探していたところ、ホームページで拝見し、14年に契約することを決めました。決め手になったのは、私たち夫婦と同世代だったこと、顔写真を公開し事務所の方針を明確に掲げており、「親身に相談に乗ってもらえそう」などと感じたことです。

藤谷英明税理士 起業当初は泉水社長自ら操作する農薬散布業務がメインでしたが、そのうちドローンの試作品の受注が増え売上高が拡大したので、法人成りをおすすめしました。法人成りした以上は月次決算をしっかり行っていただくことを条件に顧問契約を締結し、現在に至ります。

藤谷英明税理士

藤谷英明税理士

──経理の合理化を積極的に支援されているとお聞きしています。

藤谷 当事務所では月次決算を実践していただいている顧問先企業に対しては、レシートなどの証憑は原則的にデジタルデータにし、TKC自計化システムの「証憑保存機能」でクラウド保存していただくようお願いしています。さらには「証憑からの仕訳計上機能」や「銀行信販データ受信機能」などもご活用いただきながら、手入力による作業を可能な限り避けていただく方針をとっています。新しくリリースされた「スマホで経費(※1)」アプリの活用ももちろんすべての企業におすすめしています。
 また当事務所では原則的に、融資を受けている顧問先企業に対しては、「TKCモニタリング情報サービス」をご利用いただいており、ワコーコーポレーションさまでも決算書や月次試算表を取引行に開示しています。

泉水取締役 かつて税務調査が入ったときは、証憑書類の束が入ったダンボールを何箱も税務署の方が運び出していきましたが、ペーパーレス化が進んだ今では、保存しておかなければならない紙の数が目に見えて減りました。鉛筆で伝票に記入していた時代、他社会計ソフトによる手入力の時代を経験した私にとって、かつてのやり方と、スマホで証憑を撮影し、電子化した証憑から仕訳を簡単に起こせる今のシステムとでは、雲泥の差があると思います。

※1 スマホで経費…紙の証憑を撮影し、TKCの財務会計システム「FXシリーズ」に電子データをアップロードできるスマートデバイス向けアプリ。経費精算に係る従業員の手間を格段に軽減できる。さらに経理担当者は、アップロードされた証憑の電子データから仕訳を簡単に計上できる。

2.予算と実績の比較を毎月行い決算の着地点を正確に予測

──月次巡回監査ではどのような話をされていますか。

重田加奈氏 「スマホで経費」を使って保存した証憑をあらかじめ事務所で確認したうえで、月次巡回監査では変動損益計算書を一緒に見ながら業績をご説明させていただきます。そのときに話すテーマは、「月次決算速報サービス」で既にお送りしているメールに書かれている自動生成コメントの内容と重複しないよう事前に整理しています。決算が近くなると「継続MASシステム」で登録した予算との比較をしっかり行い、残りの期間のお金の使い方を議論しながら、決算の着地点を一緒に作り上げていきます。

泉水取締役 一番参考になるのは、前年同月の実績との比較です。当社は農薬散布ボートの製造が12月から4月ごろまで、農薬散布の請け負いが梅雨から夏、ドローン試作が秋と各事業が季節の移り変わりで切り替わっていきます。従って単月の業績を前年同月と比較をすることで、金額に違いが出たときに「猛暑のピークが去年と少しずれた」「今年はカメムシの発生が多い」などの原因が見えてきます。原因が分かれば、より正確に決算の着地点も把握することができます。こうした原因の追究と今後の見通しなどについての話し合いができるのも、月次決算のメリットだと思います。

──今後の経営戦略について教えてください。

泉水社長 当社の最大の強みは、ドローンの製造技術にあります。顧客から求められる機能やサイズ感を、実際のボディーの形状に具現化する力は日本一といってもいいと自負しています。量産品は中国製品にかないませんが、オンリーワン製品の製造に特化することで、今後もドローン事業を強化していきたいと考えています。

※2 継続MASシステム…経営者のビジョンに基づいた「中期経営計画」と、次年度の業績管理のための「単年度予算」、「短期経営計画」の策定を支援するシステム

(取材協力・税理士法人桜頼パートナーズ会計)

会社概要
名称 ワコーコーポレーション株式会社
業種 農薬散布ボート、ドローン製造業
設立 2019年2月
所在地 千葉県君津市寺沢648-1
顧問税理士 税理士法人桜頼パートナーズ会計藤谷事務所
顧問税理士 藤谷英明
千葉県木更津市清見台東1-26-8
URL: https://fujitani-tax.jp

掲載:『戦略経営者』2025年11月号

年商50億円を目指す企業の情報誌 戦略経営者

記事提供

戦略経営者

 『戦略経営者』は、中堅・中小企業の経営者の皆さまの戦略思考と経営マインドを鼓舞し、応援する経営情報誌です。
 「TKC全国会」に加盟する税理士・公認会計士の関与先企業の経営者を読者対象に、1986年9月に創刊されました。
 発行部数13万超(2025年9月現在)。TKC会計人が現場で行う経営助言のノウハウをベースに、独自の切り口と徹底した取材で、真に有用な情報だけを厳選して提供しています。