💡この記事のポイント
☑特例承継計画の提出期限は令和8年3月31日まで
☑特例事業承継税制の適用期限は令和9年12月31日まで
☑適用期限が迫っているため、早めの計画策定が必要
☑会社・先代経営者・後継者の適用要件を解説
☑適用に必要な手続き(一連の流れ)を解説
☑適用後の注意点をチェックリストで確認
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- 1.はじめに
- 2.特例事業承継税制の概要
- 3.「特例承継計画」提出までのスケジュール
- 4.特例事業承継税制の適用を受けるための「会社の要件」
- (1) 適用対象となる中小企業とは
- (2) 適用を受けるための要件
- 5.先代経営者及び後継者の要件
- (1) 贈与税の先代経営者・後継者の要件
- (2) 相続税の先代経営者・後継者の要件
- 6.特例事業承継税制適用の手続き
- 7.納税猶予を受けた後の注意点
- 8.まとめ
1.はじめに
中小企業経営者の高齢化が進むとともに、中小企業の廃業数は増え続けています。事業承継を急がなければ、日本経済を根底から支えている中小企業の技術やノウハウが消失してしまう危険があることから、平成30年度の税制改正で「特例事業承継税制」が創設されました。
特例事業承継税制とは「非上場株式等についての相続税・贈与税の特例納税猶予制度」のことをいいます。本制度は、平成30年4月1日から令和8年3月31日までに認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた旨を記載した特例承継計画を提出し、特例経営承継相続人等(後継者)が先代経営者から非上場株式等を令和9年12月31日までに贈与・相続等により取得後、会社が都道府県知事の認定を受けることにより適用を受けることができます。適用期限が迫っているため、本制度の利用を考えている場合は、早めに特例承継計画の策定に着手したほうがよいでしょう。
本記事では、特例事業承継税制の概要を紹介し、適用期限や要件、必要な手続き、適用後の注意点などについて解説します。
2.特例事業承継税制の概要
特例事業承継税制とは、一定の手続きにより一括で贈与等をした非上場株式等についての贈与税額が全額納税猶予される制度です。贈与者死亡の際は、贈与時の評価額が相続税の課税対象とされますが、この株式等に係る相続税額も全額猶予対象とされます。ただし、適用には期限があります。
(1) 「特例承継計画」の提出は令和8年3月31日まで
令和9年12月31日までに、代表者であった筆頭株主から贈与または相続によって代表者である後継者が株式等を取得した場合には、株式評価額に対応する贈与税または相続税の全額の納税が猶予されます。令和8年3月31日までの「特例承継計画」の提出が全額猶予の条件です。
特例事業承継税制の適用を受けるには、まず令和8年3月31日までに会社が認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて「特例承継計画」を作成し、都道府県知事あてに提出して確認を受けることが必要です。その後、令和9年12月31日までに代表者であった筆頭株主が保有している株式を後継者に贈与または相続等すると、その株式の評価額に対応する贈与税または相続税の全額について、その納税が猶予される特例事業承継税制の適用を受けることができます。
(2) 非上場株式等の後継者への贈与は令和9年12月31日まで
令和8年3月31日までに計画を提出した場合には、特例事業承継税制の適用の権利を 手に入れたことになります。計画を提出しても、すぐに贈与する必要はありません。ただし、令和9年12月31日までに非上場株式等を後継者に贈与しなければ、特例事業承継税制の適用の権利を喪失することになるため、令和9年12月31日までに贈与する必要があります。後継者が経営者として独り立ちできるよう、一定期間伴走しながら計画的に経営を引き継いでいきましょう。
(3) 令和8年3月31日までに先代経営者が死亡した場合
「特例承継計画」を提出していなかったとしても、令和8年3月31日までの期間に先代経営者が死亡した場合には、死亡後に一定の手続きをすることによって特例事業承継税制の適用を受けることができます。また、この期間内であれば贈与した後に「特例承継計画」を提出することも認められます。
(4) 「特例承継計画」未提出で令和8年4月1日以後に先代経営者が死亡した場合
「特例承継計画」を令和8年3月31日までに提出しないままで、令和8年4月1日以後に先代経営者が死亡した場合には、特例事業承継税制の適用を受けることができません。 この場合、一定の要件を満たしていれば、一般事業承継税制で総株主等議決権数の3分の2までの株式について納税猶予を受けることができます。
しかし、対象となる株式の評価額の80%に対応する相続税額のみが納税猶予の適用対象となり、残りの部分に対応する相続税額は原則として相続税の申告期限までに納税しなければなりません。
(5) 「特例承継計画」を提出せずに令和8年4月1日以後に贈与した場合
「特例承継計画」を提出せずに提出期間を過ぎてしまった場合の贈与・相続については、 他の適用要件を全て満たしていても、特例事業承継税制ではない一般事業承継税制の適用となります。総株主等議決権数の3分の2までの株式について納税猶予を受けることができますが、相続の場合には対象となる株式の評価額の80%に対応する相続税額のみが納税猶予の対象です。
(6) 令和9年12月31日までの贈与等に対応する相続にも特例事業承継税制を適用
令和8年3月31日までに「特例承継計画」を提出し、令和9年12月31日までに非上場 株式等の贈与を受けて特例事業承継税制の適用を受けたとします。その場合、贈与した先代経営者が死亡した際には、贈与時点の非上場株式等の評価額を相続財産とみなして相続税が課税されますが、切替確認が認められると、その非上場株式等に対応する相続税額の全額が納税猶予されます。先代経営者の死亡時期が20年先であろうと30年先であろうと、このことに変わりはありません。
3.「特例承継計画」提出までのスケジュール
(1) 「特例承継計画」提出まで半年〜1年程度は必要
計画の提出までに実施しなければならない内容を時系列で示すと、次のようになります。これを工程表によって管理します。
① オーナーの相続税の試算(個人の財産の評価集計)
② 自社株式の評価(会社の土地建物の固定資産評価明細その他の情報収集)
③ 自社株式に係る相続税の納税猶予額の算出
④ 株主名簿・定款
これら以外にも従業員持株会の検討、種類株式発行の検討、親族間に分散している株式の買取等を含む整理案の検討(自社株買取を含む)など、会社によってはさまざまな検討が必要です。しかし、当面必要な「特例承継計画」の提出については①から⑥までに集中して行えばよいでしょう。
■「特例承継計画」提出までの工程表
月 | 月 | 月 | 月 | 月 | ||
① | オーナーの相続税の試算(個人の財産の評価集計) | |||||
② | 自社株式の評価(会社の土地建物の固定資産評価明細その他の情報収集) | |||||
③ | 自社株式に係る相続税の納税猶予額の算出 | |||||
④ | 株主名簿・定款・議事録・会社登記事項証明書等の収集確認と株式保有関係図作成 | |||||
⑤ | オーナー退職金の試算と退職金支給後の①から③の試算 | |||||
⑥ | 後継者による特例承継計画の作成 |
(2) 「特例承継計画」は提出後も変更できる
特例承継計画の確認を受けた後に、計画の内容に変更があった場合は、変更申請書を都道府県に提出し確認を受けることができます。変更申請書には、変更事項を反映した計画を記載し、認定経営革新等支援機関による指導・助言を受けることが必要です。
この変更申請書は贈与する前であれば提出することができます。なお、特例後継者が事業承継税制の適用を受けた後は、その特例後継者を変更することはできません。ただし、特例後継者を2人または3人記載している場合、まだ株式の贈与・相続を受けていない特例後継者は、第二種贈与対象期間または第二種相続対象期間内において変更することが可能です。
4.特例事業承継税制の適用を受けるための「会社の要件」
(1) 適用対象となる中小企業とは
適用対象となる会社は、下表に示した業種に応じて資本金の額または従業員数のいずれかに該当している会社です。さらに次の(2)の①から⑩までの要件のいずれにも該当している必要があります。ただし、贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切替確認の際には、下表の中小企業の範囲に該当しなくなっていても、また非上場会社でなくなっていても相続税の納税猶予の適用を受けることができます。
これらは性風俗関連特殊営業に該当する事業を営む会社以外のほとんど全ての会社が満たすこととなると考えられ、通常の事業会社であれば適用可能といえるでしょう。
■特例事業承継税制の適用対象となる中小企業

※自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く。
ただし、資産保有型会社及び資産運用型会社に該当する場合には、常時従業員が5人以上いなければ適用できないと考える必要があります。有価証券、事業に使用していない不動産、現預金などの合計が総資産の70%以上を占める会社を「資産保有型会社」、これらの資産から生ずる収入がその会社の総収入の75%以上を占める会社を「資産運用型会社」といいます。常時従業員が5人以上いなければ適用できない理由は、個人で保有している現金、不動産、有価証券及び高額な絵画などの美術品等を会社に移し、その会社で事業承継税制の納税猶予の適用を受けることによる相続税の課税回避をできないようにするためです。
なお、特例事業承継税制の適用対象となる「会社」の範囲は、株式会社、特例有限会社、合同会社、合資会社、合名会社、農業経営を営む法人など会社法上の会社が対象(医療法人、社会福祉法人等は対象外)です。
(2) 適用を受けるための要件
以下の①から⑩までの要件を全て満たすことが必要です。
① 性風俗関連特殊営業に該当する事業を営む会社(以下「風俗営業会社」という)に該当しないこと
② 「資産保有型会社」に該当しないこと
相続等の場合は、相続開始の属する事業年度の直前事業年度開始の日以後の事業年度を通して判定し、認定時には「配当及び役員給与」の加算を行わずに判定。
③ 「資産運用型会社」に該当しないこと
相続等の場合は、相続開始直前事業年度において判定。
④ 直近の事業年度における総収入金額が1円以上であること
⑤ 常時使用する従業員の数が1人以上であること
⑥ その中小企業者の特定特別子会社(その会社及びその代表者並びにその代表者と生計を一にする親族等が50%超の議決権を有する場合のその会社)が上場会社等、大会社または風俗営業会社に該当しないこと
⑦ その中小企業者の代表者が経営承継受贈者または経営承継相続人であること
⑧ その中小企業者が拒否権付種類株式(黄金株)を発行している場合には、その種類株式をその中小企業者の代表者以外の者が有していないこと
⑨ 非上場会社であること
⑩ 現物出資等資産の割合は70%未満であること
■ 認定対象となる会社の要件チェックリスト
確認する項目 | チェック | |
---|---|---|
① | 経営承継円滑化法上の中小企業者であること | □ |
② | 上場会社等または風俗営業会社に該当していないこと | □ |
③ | 資産保有型会社に該当していないこと | □ |
④ | 資産運用型会社に該当していないこと | □ |
⑤ | (③資産保有型会社または④資産運用型会社に該当する場合)資産保有型会社または資産運用型会社の例外的な措置に該当していること | □ |
⑥ | 直近の事業年度における総収入金額(営業外収益及び特別利益を除く)が1円以上であること | □ |
⑦ | 常時使用する従業員の数が1人以上であること | □ |
⑧ | 会社が拒否権付種類株式(黄金株)を発行している場合で、その種類株式を会社の経営承継相続人等以外の者が有していないこと | □ |
⑨ | 特定特別関係会社が、上場株式等、上場会社等、大会社または風俗営業会社に該当していないこと | □ |
⑩ | 現物出資等資産の割合は70%未満であること | □ |
5.先代経営者及び後継者の要件
(1) 贈与税の先代経営者・後継者の要件
贈与における先代経営者は次の要件を満たす必要があります。
① 会社の代表者であったこと(贈与までに代表権を返上する必要がある)
② 先代経営者と同族関係者で総株主等議決権数の50%超の株式等を保有し、かつ、その同族関係者(特例経営承継受贈者を除く)の中で筆頭株主であったこと(代表者であった当時のいずれかの時点及び贈与直前に要件を満たす必要がある。代表権返上直後に贈与した場合は贈与直前のみでよい)
贈与の場合の後継者(特例経営承継受贈者)は次の要件を満たす必要があります。
① 会社の代表者であること(代表者はその者以外にいてもよい)
② 18歳以上であり、かつ、贈与の直前において役員等であること
③ 同族関係者と合わせて総株主等議決権数の50%超の株式等を保有し、かつ、その同族関係者の中に後継者以外に保有株式数等の上位者がいないこと(認定対象者は特例承継計画に記載された代表権を有する3人までに限る)
④ 贈与のときから認定申請日まで引き続き贈与により取得した認定承継会社の株式等の全てを保有していること
(2) 贈与税の先代経営者・後継者の要件
相続または遺贈における先代経営者は次の要件を満たす必要があります。
① 会社の代表者であったこと(直前に代表者であってもなくてもよい)
② 先代経営者と同族関係者で総株主等議決権数の50%超の株式等を保有し、かつ、その同族関係者(特例経営承継相続人等を除く)の中で筆頭株主であったこと(代表者であった当時のいずれかの時点及び相続開始直前に要件を満たす必要がある。相続開始直前に代表者であった場合は相続開始直前のみでよい)
相続の場合の後継者である特例経営承継相続人等は次の要件を満たす必要があります。
① 特例代表者であった被相続人の死亡の直前において特例認定承継会社の役員であったこと(被相続人が70歳未満であった場合、または後継者が特例承継計画に特例後継者として記載されている者である場合は役員でなくともよい)
② 相続開始の日の翌日から5カ月を経過する日までに代表権を有していること
③ 相続または遺贈により株式等を取得した代表者であり、同族関係者と合わせて総株主等議決権数の50%超の株式等を保有し、かつ、その同族関係者の中に保有株式数等の上位者がいないこと(認定対象者は代表権を有する特例承継計画に記載された3人までに限る)
④ 被相続人の相続開始のときから認定申請日まで引き続き相続または遺贈により取得した特例認定承継会社の株式等の全てを保有していること
なお、後継者が特例認定承継会社の経営者となった後、特例認定承継会社が株式を100%保有する会社の代表者に先代経営者が就任している場合でも、特例事業承継税制の適用は可能です。株式保有割合が100%未満の場合も、もちろん同様です。
6.特例事業承継税制適用の手続き
特例事業承継税制の適用を受ける前後に必要な手続き等の一連の流れは、以下のとおりです。
(1) 株式等を贈与するまでのプロセス
特例事業承継税制の適用を受けるためには、まず令和8年3月31日までに会社が特例承継計画を都道府県庁に提出します。その計画の内容に従って後継者教育、経営改善、事業の磨き上げ等を行い、取引先や金融機関などの外部に対しても事業承継することを周知します。そして、先代経営者が代表権を返上し、後継者(贈与の直前において役員等に就任していること)が代表者に就任するなどの適用要件を全て満たした上で、令和9年12月31日までに株式等を先代経営者から後継者に一括して贈与します。
(注)令和8年3月31日までは、株式等を贈与した後で認定申請時までに特例承継計画を提出することも認められます。
(2) 会社が都道府県知事あてに申請をして認定を受ける
会社は先代経営者が後継者に株式等を贈与した翌年の1月15日までに都道府県庁に必要書類をそろえて確認申請書を提出します。書類審査で適用要件を満たしていることが確認されると、会社に対して都道府県知事から「確認書」が交付されます。
(3) 後継者が税務署に贈与税の申告書を提出
後継者は贈与を受けた年の翌年3月15日までに、会社が交付を受けた「確認書」を添付して、贈与税の納税猶予の適用を受けるための贈与税申告書を所轄税務署に提出します。
(4) 5年間の事業継続期間は毎年、都道府県庁と税務署に書類を提出
特例事業承継税制の贈与税の納税猶予の適用を受けた後は、経営承継期間である贈与税の申告期限から5年間は毎年、会社が都道府県庁に報告書を、後継者が税務署に届出書を提出しなければなりません。5年経過後は、3年に1回税務署に届出書の提出が必要です。
(5) 先代経営者が死亡した場合は、都道府県庁に相続税への切替確認手続き
先代経営者が死亡した場合は、死亡の日の翌日から8カ月以内に、会社が都道府県庁に対して贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予への切替確認の手続きをします。切替をするための要件を満たしていれば確認書が交付されます。
(6) 後継者が相続税の申告書を提出する
後継者は、相続税の申告期限までに会社が交付を受けた切替確認書を添付して、相続税の納税猶予を適用した相続税の申告書を所轄税務署に提出することになります。
7.納税猶予を受けた後の注意点
(1) 当初5年間の事業継続期間に守らなければならないこと
特例事業承継税制適用後の5年間は認定取消となるリスクがあります。特例事業承継税制の適用を受けたあと、相続税の申告期限または贈与税の申告期限から5年の間に報告・届出を怠った、後継者が代表者でなくなった、減資を行ったなどに該当すると認定が取り消され、猶予を受けている税額の納税が必要になります。通常はほとんどそのリスクはないといえますが、下記のチェックリストで確認しましょう
■当初5年間の事業継続要件チェックリスト(主なもの)
確認する項目 | チェック | |
---|---|---|
① | 事業継続期間中※1、経営承継相続人等が代表者か? | □ |
② | 事業継続期間中、報告基準日※2における常時使用従業員の数の平均が、相続開始の時(贈与の時)における常時使用従業員の数の80%を上回っているか? ⇒80%を下回った場合は、認定経営革新等支援機関の意見が記載されている「雇用確保要件を満たせない理由を記載した書類」を提出することで要件をクリアすることは可能 | □ |
③ | 事業継続期間中、経営承継相続人等が、相続もしくは遺贈または贈与により取得した対象株式の全部を継続して保有しているか? | □ |
④ | 資産保有型会社または資産運用型会社に該当していないか? | □ |
⑤ | 総収入金額(営業外収益及び特別利益を除く)がゼロの会社に該 当していないか? | □ |
⑥ | 上場会社等、風俗営業会社に該当していないか? | □ |
⑦ | 欠損の填補等以外の理由で資本金や準備金を減少させていないか? | □ |
⑧ | 毎年都道府県への報告・税務署長への届出を忘れずに行っているか? ⇒報告基準日から3カ月以内に都道府県担当課へ報告し、確認書を取得後、報告基準日から5カ月以内にその確認書を添付して税務署へ届け出る | □ |
※1 事業継続期間:贈与税または相続税の申告期限の翌日から5年間
※2 報告基準日:贈与税または相続税の申告期限の翌日から1年を経過するごとの日(応当日)
(2) 5年経過後に納税猶予打切りにならないために
納税猶予適用株式を譲渡した場合や、特例認定承継会社が解散した場合、資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合などに納税猶予税額の全部または一部の納税猶予が打ち切られますので、これらに該当しないようにする必要があります。下記のチェックリストを確認しましょう。
■事業継続期間経過後の要件チェックリスト
確認する項目 | チェック | |
---|---|---|
① | 株式の全部または一部を譲渡していないか? | □ |
② | 解散していないか? | □ |
③ | 資産保有型会社または資産運用型会社に該当していないか? | □ |
④ | 総収入金額(営業外収益及び特別利益を除く)がゼロの会社に該当していないか? | □ |
⑤ | 欠損の填補等以外の理由で資本金や準備金を減少させていないか? | □ |
⑥ | 3年に1回の税務署長への届出を忘れずに行っているか? | □ |
なお、先代経営者が事業継続期間の5年間を経過した後に代表者として役員に復帰した場合には、給与の支給を受けても納税猶予の打切りはありません。
8.まとめ
特例事業承継税制は中小企業のスムーズな事業承継をサポートするための制度ですが、適用期限が迫っています。これから本制度の利用を考えている場合は、早急に特例承認計画の策定に取り掛かりましょう。また、既に適用を受けている場合にも、認定取消や納税猶予打切りにならないように要件の確認が必要です。
特例事業承継税制の活用とともに、自社の早期経営改善計画を立案・実践することで、より収益性の高い企業への磨き上げを図りましょう。そして、後継者の経営力を育み、会社の永続発展につなげ、従業員、取引先、ひいては社会に貢献できる企業を目指したいものです。
参考文献
・『Q&A特例事業承継税制』(監修:TKC全国会 システム委員会 中小企業支援委員会 資産対策研究会、TKC出版)
・『Q&A特例事業承継税制の活用法』(監修:TKC全国会 システム委員会 中小企業支援委員会 資産対策研究会、TKC出版)

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