2026年11月05日

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生命保険で期待できる相続発生時の5つの効果

生命保険で期待できる相続発生時の5つの効果

生命保険を活用すると、①指定した受取人に現金を遺せる、②受取人単独で手続きできる、③多くの保険会社が請求後1週間で入金可能、④法定相続人が受け取る死亡保険金は一定額まで相続税がかからない、⑤代償金の支払原資に役立つ、という5つのメリットがあります。相続税納付や相続人間の代償金支払いなど、まとまった現金が必要となる場面が想定できる場合は、相続対策としての生命保険の活用を検討するとよいでしょう。

💡この記事のポイント
 ☑保険金は遺産分割や遺留分の対象外のため、特定の相手へ財産を遺せる。
 ☑他の相続人の合意や押印を待たず、受取人が単独で手続きが可能。
 ☑相続税の非課税枠「500万円×法定相続人数」がある。
 ☑相続対策としての生命保険は、保障が一生涯続く終身保険(有期払いや一時払い)が適しており、既存の契約がある場合、医療特約等の解約、受取人の見直しなどを行っておくとよい。

1.生命保険の活用で期待できる相続発生時の5つの効果

 生命保険を上手に活用すれば、相続争いや相続税納付の資金不足といったリスクを回避、軽減することができます。相続発生時に見込める効果は以下の5つです。

生命保険の活用による相続発生時の効果

(1) 保険金受取人に現金を遺せる
(2) 保険会社への手続きが保険金受取人単独でできる
(3) 保険金をすばやく受け取れるサービスが利用できる
(4) 法定相続人が受け取る死亡保険金は一定額まで相続税が非課税となる
(5) 代償金の支払原資に役立つ

(1) 保険金受取人に現金を遺せる

 保険金は、①遺産分割の対象にならない、②原則として遺留分算定基礎財産に該当しないものであることから、受取人に現金を遺すことが可能です。

①保険金は遺産分割の対象にならない
 生命保険は受取人固有の財産であることから、遺産分割協議を経ることなく受取人が保険金を取得することができます。
 また、原則として特別受益※にあたらないため、法定相続分に従って相続財産を分ける場合であっても生命保険金を除外して相続分を算定することから、より多く財産を相続させたい特定の相続人を生命保険金の受取人としておけば、被相続人の意思を実現できます。なお、遺産総額とほぼ同額の保険金を特定の一人に遺し、特別受益と判断された判例があるため、相続人間に著しい不公平が生じる保険金額の設定は控えるようにしましょう。
※被相続人からの遺贈または生前の贈与によって相続人が受けた利益のこと。「贈与」として想定されているのは婚姻・養子縁組のための贈与と生計の資本としての贈与。

②保険金は原則として遺留分算定基礎財産に該当しない
 遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)について被相続人の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことで、被相続人の生前の贈与または遺贈によっても奪われることのないものです。
 被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与または遺贈し、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は、贈与または遺贈を受けた者に対し、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。これを遺留分侵害額の請求といいます。しかし、生命保険金は被相続人の遺産ではないため、原則として遺留分を計算する上での遺留分算定基礎財産に含まれません。よって、現預金を生命保険金に組み換えておけば保険金受取人のものとすることができます。

(2) 保険会社への手続きが保険金受取人単独でできる

 被相続人の遺産を法定相続する場合、銀行や証券会社に対しては、原則として各金融機関所定の届出書に相続人全員の署名と実印による押印が必要となります。そのため、遺産分割協議でもめた場合、相続人のうちの誰かひとりでも署名押印に協力しなければ、いつまでも解約することができず財産が凍結されたままとなってしまいます。
 しかし、生命保険金は受取人が単独で生命保険会社に受取手続きを行うことができます。そのため、相続人同士が不仲である場合や相続人が遠方にいる場合など、全員での手続きが困難となる可能性があるときは、あらかじめ財産の一部を生命保険の保険料にあてて保険金として受け取ってもらうとよいでしょう。

(3) 保険金をすばやく受け取れるサービスが利用できる

 相続が開始すると被相続人の銀行預金等の口座は凍結等されてしまうため、相続関連の手続きが終了するまで、自由に引き出すことができません。葬儀費用など急な出費かつ多額の現金が必要な場合は遺族が立て替えることになります。
 そのような場合でも、保険金の支払いがあれば、相続発生時の遺族の費用負担を軽減することが可能です。多くの生命保険会社では、必要書類がすべて整って保険金請求が行われた場合、保険金は約1週間以内に受取人指定の口座へ振り込まれるようになっています。また、一部の保険会社では死亡保険金即日支払サービスを行っているため、それらの活用を検討するのもよいでしょう。

(4) 法定相続人が受け取る死亡保険金は一定額まで相続税が非課税となる

 被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金は相続税の課税対象となりますが、以下のとおり、一定額の非課税制度があります。


被相続人の死亡によって取得した生命保険金等の非課税限度額
[500万円×法定相続人の数]

 例えば、相続人が配偶者と子2人の場合の非課税限度額は500万円×3=1,500万円であり、相続人全体でこの額まで保険金の相続税が非課税となります。
 なお、この非課税制度を受けることができるのは死亡保険金を受け取った法定相続人(相続放棄をした人などを除く)のみです。

(5) 代償金の支払原資に役立つ

 不動産のように現物分割が困難な相続財産があるとき、複数の相続人に相続財産を公平に分けることを目的に、不動産を取得した相続人が他の相続人に対して支払う金銭を代償金といいます。
 相続財産のほとんどが不動産や株式などの流動性の低い財産であると、代償財産の支払いが困難になるケースがありますが、生命保険金があればこれを他の相続人に対する代償財産の支払いにあてられます。特定の相続人に集中して財産を遺す場合には、このような生命保険の活用を検討しておくのがよいでしょう。

2.生命保険を相続対策に活用する際のポイント

相続対策に生命保険の活用を検討しているイメージ

 相続対策としてより効果的に生命保険を活用するには、保障期間や保険料の払い方といった契約内容についてポイントがあります。

(1) 終身保険を選択する

 生命保険の加入目的が、相続税の納税資金確保や遺産分割をスムーズに行うための原資とすることであれば、終身保険を選択することが賢明です。定期保険のように保障期間が決まっているものとは異なり、いつ死を迎えたとしても必ず保険金が支払われるため安心です。ただし、終身保険でも長生きすると死亡保険金が減額されるような保険商品は避けるようにしましょう。
 また、保険料の支払方法についても注意が必要です。保険料を終身払いにすると、長生きすることによって支払った保険料が保険金額を超えてしまうことがあります。そのため、一定の年齢まで保険料を支払えば保障は一生涯続く有期型の支払方法、または一時払いを選択するのがおすすめです。

(2) 既存の保険契約を見直す

① 必要のない保険は解約を検討する
 相続対策として生命保険に期待される役割は、相続が発生して多額の相続税の納税やさまざまな費用の負担に相続人が困らないようにすることにあります。そのため、怪我や入院・手術に備えて加入する疾病特約や医療保険は必要ないでしょう。それらの特約は当然に保険料の負担が必要ですから、特約部分を解約し、その保険料を死亡保険金の保険料に充当し、少しでも多く死亡保険金を確保することが賢い選択です。

② 相続税対策に効果的な保険か確認する
 家族全員の保険加入の状況を確認し、これらの保険が相続税対策に効果的か否かを検証して見直す必要もあります。被相続人が保険契約者となっている若い子や孫を被保険者とする生命保険も当面は必要ないと思われますので、それらの保険契約は解約・減額または払済保険(保険料の支払いを中止し、その時の解約返戻金を原資に既契約と同種の保険に変更する制度、保険金額は小さくなる)にして保険料の削減を図り、必要とされる人を被保険者とする保険に組み換えることが肝要です。

③ 保険金受取人を確認する
 保険金受取人が相続税の納税資金を必要とする子などになっているか確認しましょう。納税資金確保に困っていない配偶者や、相続人でない孫などが保険金受取人となっている場合には、保険金受取人を子などへ変更するようにします。相続人でない孫は死亡保険金の非課税枠を活用できないため、どうしても財産を遺したい場合は生前贈与で遺すようにしましょう。

参考文献

・『財産承継ニュース vol.35,36』(TKC出版)

株式会社TKC出版

記事提供

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 1万名超の税理士および公認会計士が組織するわが国最大級の職業会計人集団であるTKC全国会と、そこに加盟するTKC会員事務所をシステム開発や導入支援で支える株式会社TKC等によるTKCグループの出版社です。
 税理士の4大業務(税務・会計・保証・経営助言)の完遂を支援するため、月刊誌や映像、デジタル・コンテンツ等を制作・提供しています。

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