2026年10月07日

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電子契約を導入すると何が変わる?電子帳簿保存法との関係と保存方法のポイント

電子契約を導入すると何が変わる?電子帳簿保存法との関係と保存方法のポイント

電子契約は、契約書の作成から締結までをオンラインで行える仕組みです。印刷や押印、郵送の手間を減らせる一方で、電子データで授受した契約書は、電子帳簿保存法に沿って保存しなければなりません。
電子契約を導入すると、契約方法だけでなく契約書の保存や管理の方法も変わります。本記事では、電子契約の仕組みや導入するメリット、電子帳簿保存法との関係、導入前に確認しておきたいポイントを解説します。

💡この記事のポイント
 ☑電子契約を導入すると、契約方法だけでなく、契約書の保存方法や管理方法も変わります。
 ☑電子データで授受した契約書は、電子帳簿保存法に基づいて保存する必要があります。
 ☑導入前に契約業務の流れを整理しておくことが、スムーズな運用につながります。

1.電子契約とは

 契約書の作成や締結は、多くの企業で日常的に行われています。契約件数が増えると、印刷や押印、郵送だけでなく、契約書の保管や検索にも手間がかかります。契約業務の負担を感じている企業も少なくないでしょう。
 こうした負担を軽減する方法として、電子契約を導入する企業が増えています。中小企業でも利用が広がり、契約手続きの一つとして定着しつつあります。
 電子契約とは、契約書を電子データで作成し、電子署名などを利用して契約を締結する仕組みです。紙の契約書のように印刷や押印を行う必要はなく、契約手続きはオンラインで完結します。
 「電子データだけで契約しても、契約書として認められるのだろうか」と不安に感じる方もいるかもしれません。
 電子契約では、電子署名によって契約者本人による手続きであることを確認し、タイムスタンプによって契約書が一定の時点で存在していたことや、その後に改変されていないことを確認できます。そのため、一定の要件を満たせば、電子データであっても契約書として取り扱うことができます。
 実際に電子契約を導入する際は、専門の企業が提供している電子署名や契約書の保存機能などを備えた「電子契約サービス」を利用するのが一般的です。
 例えば、株式会社スカイコムが提供する「SkySign®」は、電子署名やタイムスタンプ機能(電子文書が特定の日時に存在しており、その後改ざんされていないことを証明する仕組み)に対応したクラウド型電子契約サービスです。契約書の作成や送付、締結だけでなく、締結後の契約書を電子データとして保存・管理できるため、契約業務を一連の流れとしてオンラインで完結させやすくなります。
 紙の契約書では、契約書を印刷し、押印し、相手先へ郵送し、返送された契約書をファイルへ綴じて保管するといった作業が発生します。また、後日契約内容を確認したい場合には、保管場所から該当する契約書を探し出さなければなりません。当然、契約件数が増えるほど、こうした管理業務の負担も大きくなります。
 一方、SkySign®では、契約締結後の契約書を電子データとして保存できるので、紙の契約書を保管するためのスペースを確保する必要がありません。契約先や契約日などの条件で契約書を検索しやすく、必要な文書へ迅速にアクセスできる点も特徴です。
 また、契約の締結状況や保存状況を確認しやすくなるため、契約業務の管理や情報共有を進めやすくなります。担当者が異動した場合でも契約書の所在がわからなくなるリスクを抑えやすく、契約情報を組織全体で共有しやすくなることもメリットの一つです。
 上記のSkySign®の例を見ても、電子契約サービスの導入は単なるペーパーレス化ではありません。契約締結後の保存や検索、管理まで含めて契約業務全体を効率化する取り組みといえます。電子契約サービスを選ぶ際は、料金だけでなく、電子署名への対応状況や保存機能、検索機能、権限管理機能なども比較し、自社の業務に合ったサービスを選ぶことが重要です。

2.電子契約を導入するメリットと注意点

 電子契約が普及している背景には、契約業務を効率化したいという企業のニーズがあります。契約書を電子データへ置き換えるだけでなく、契約書の作成から締結、その後の保存・管理まで、一連の業務を見直しやすくなることも導入が進む理由の一つです。

(1) 電子契約のメリット

 紙の契約書では、契約書を作成した後も、印刷や押印、郵送といった手続きが必要になります。相手方へ発送してから返送されるまで契約が完了しないため、急ぎの契約では時間がかかることもあります。
 電子契約では、契約書をオンラインで送付し、そのまま契約を締結できます。郵送を待つ必要がないため、契約手続きをスムーズに進められます。
 契約が終わると、今度は契約書を保存・管理する業務が始まります。
 紙の契約書は保管場所を確保しなければならず、契約内容を確認したい場面では、目的の契約書を探す手間もかかります。
 電子契約では、契約書を電子データとして保存・管理します。契約先や契約日などで検索できるため、必要な契約書をすぐに確認できます。
 電子契約は、契約を早く締結できるだけでなく、契約後の管理も効率化できることが大きなメリットです。
 また、印刷費や郵送費などの費用がかからなくなることもメリットの一つです。契約件数が多い企業ほど、その効果を実感しやすいでしょう。

(2) 導入時の注意点

 電子契約を導入すると、契約の締結方法だけでなく、契約書の保存方法も変わります。紙の契約書をファイルで保管する代わりに、電子データのまま保存し、必要なときに検索できる状態で管理することが求められます。電子データで授受した契約書は電子帳簿保存法の対象となるため、保存場所や保存期間、検索方法などの運用ルールについても事前に確認しておく必要があります。
 ただ、電子契約を導入しても、すべての契約を電子化できるとは限りません。取引先によっては、紙の契約書による契約を希望する場合があるからです。そのため、紙と電子契約が混在することも想定し、それぞれの運用方法を整理しておく必要があります。
 また、契約方法が変われば、社内の業務フローも見直さなければなりません。電子契約を導入した後に運用で迷わないためには、契約書の送付から保存、管理までの役割分担をあらかじめ決めておくことが重要です。

電子契約導入時に決めておきたい主な基本ルール
・契約書を誰が送付するか
・締結後の契約書をどこへ保存するか
・誰が契約書を管理するか
・紙契約と電子契約をどう区分するか

 上記のルールを事前に整理しておくことで、導入後の混乱を防ぎやすくなります。
 電子契約サービスを選ぶ際は、料金だけで判断するのではなく、自社の契約件数や業務の流れに合った機能が備わっているかも確認しておきたいところです。電子署名への対応だけでなく、あらかじめ保存機能や検索機能も比較しておくと、導入後の運用を進めやすくなります。

3.電子契約と電子帳簿保存法の関係

 電子契約を導入すると、契約書を取り交わす方法だけでなく、締結後の保存方法も変わります。
 紙の契約書は書類として保管することが一般的ですが、電子データで授受した契約書は、電子データのまま保存することが原則です。税務上の保存義務がある契約書を電子データで授受した場合は、電子帳簿保存法における「電子取引」の対象となります。
 ここで押さえておきたいのは、電子契約サービスを利用したかどうかではなく、「契約書を電子データで授受したかどうか」が判断の基準になるという点です。
 そのため、電子契約サービスで締結した契約書だけでなく、電子メールなどで受け取った契約書も、保存義務の対象となる場合があります。

(1) 電子データのまま保存する

 電子データで授受した契約書は、紙に印刷して保管するだけでは電子帳簿保存法の保存要件を満たせません。保存すべきなのは、電子データそのものです。
 紙で保管することに慣れていると、「印刷して保存すれば十分」と考えてしまいがちです。しかし、電子データを印刷しただけでは、電子取引の保存要件を満たしたことにはなりません。
 電子契約では、「紙を保管する」から「電子データを保存する」へ考え方を切り替える必要があります。
 電子契約サービスを利用する場合は、契約書をどのような方法で保存するのか、保存期間中に必要なデータを取り出せるかどうかも確認しておきましょう。

授受した契約書は電子データのまま保存

(2) 検索できる状態で保存する

 電子データは、保存して終わりではありません。必要な契約書を確認したいときに、すぐ取り出せる状態で管理しておくことも重要です。
 例えば、契約内容を確認するたびに保存先を探したり、ファイルを一つずつ開いたりしていては、電子データで管理するメリットを十分に生かせません。
 電子帳簿保存法では、一定の検索機能を確保した状態で保存することが求められています。契約日や取引先などで検索できるようにしておけば、必要な契約書をスムーズに確認できます。
 なお、事業規模など一定の要件を満たす場合は、検索要件の一部が不要となるケースもあります。
 電子データは、「保存すること」と「探せること」の両方を意識して管理することが大切です。

4.電子契約を導入する前に確認しておきたいこと

 電子契約を導入する際は、サービスを比較する前に、現在の契約業務を整理しておきましょう。
 契約書を誰が作成し、誰が内容を確認して相手方へ送付しているのか。締結後はどこへ保存し、誰が管理しているのかを書き出してみると、現在の業務の流れが見えてきます。
 取引先によっては、紙の契約書による契約を希望する場合があります。そのため、すべての契約を一度に電子化する必要はありません。電子契約へ移行する契約と紙で運用を続ける契約を整理しておけば、契約方法が混在しても対応しやすくなります。
 電子契約を円滑に運用するには、サービスより先に、契約業務の流れを整理しておくことが重要です。契約書を誰が作成するのか、誰が承認するのか、誰が送付するのか。締結後は誰が保存し、必要になったときは誰が確認するのか。担当者ごとの役割を明確にしておけば、運用ルールを定着させやすくなります。
 電子契約サービスを選ぶ際は、料金だけで判断するのではなく、自社の業務に必要な機能が備わっているかも確認しておきたいところです。電子署名への対応だけでなく、保存機能や検索機能、利用者ごとの権限設定なども比較すると、導入後の運用を進めやすくなります。最初からすべての契約を電子化する必要はありません。契約件数が多い取引や定型的な契約など、取り組みやすいものから始め、運用しながら改善を重ねていく方法もあります。

5.経理担当者が確認しておきたい保存要件

 電子契約を導入すると、契約書は電子データとして保存することになります。しかし、経理担当者にとって契約書は、保存するだけの書類ではありません。請求内容と契約条件を照合したり、過去の契約内容を確認したりと、日々の業務でも見返す機会があります。
 保存要件は、税務調査への備えだけでなく、日常業務を円滑に進めるための仕組みでもあります。例えば、契約書の保存場所が担当者ごとに異なっていたり、ファイル名の付け方が統一されていなかったりすると、必要な契約書を探すだけでも時間がかかります。契約件数が増えるほど、その負担は大きくなるでしょう。
 電子契約サービスの検索機能を活用すれば、契約日や取引先などの条件から契約書を探しやすくなります。ただし、検索機能を十分に活用するには、保存ルールを社内で統一しておくことが欠かせません。担当者が変わっても同じ方法で管理できるよう、保存場所やファイル名の付け方などをあらかじめ決めておきましょう。
 また、導入後も運用状況を定期的に確認することが大切です。契約件数の増加や担当者の変更によって、当初決めたルールが守られなくなることもあります。保存漏れや検索しにくい状態を放置すると、日常業務だけでなく、税務調査などで契約書の提示を求められた場面でも対応に時間がかかります。必要な契約書を必要なときに迷わず取り出せる状態を維持することが、電子契約を生かすための重要なポイントです。

6.電子契約は契約業務を見直す機会になる

 電子契約というと、紙の契約書を電子データへ置き換える仕組みというイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、実際に変わるのは契約方法だけではありません。契約書の作成から締結、保存、管理まで、一連の契約業務を見直す機会にもなります。
 契約書を誰が作成し、誰が内容を確認して送付するのか。締結後はどこへ保存し、誰が管理するのか。現在の業務を書き出してみると、担当者によって対応が異なっていたり、運用ルールが曖昧になっていたりすることに気付く場合があります。
 電子契約の目的は、契約書を電子化することではありません。契約業務を効率化し、管理しやすい仕組みをつくることにあります。そのため、最初からすべての契約を電子化する必要はありません。契約件数が多い取引や定型的な契約など、取り組みやすい業務から始め、運用状況に合わせて対象を広げていく方法もあります。
 電子契約を導入すると、契約方法だけでなく、契約書の保存方法や管理方法も変わります。現在の契約業務を整理したうえで、自社に合った運用ルールを整えていけば、電子契約のメリットをより生かしやすくなるでしょう。

参考文献

・国税庁「電子帳簿保存法」
・国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」
・国税庁「電子帳簿保存法Q&A」
・e-Gov法令検索「電子署名及び認証業務に関する法律」
・デジタル庁「電子署名・電子契約に関する資料」

株式会社TKC出版

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株式会社TKC出版

 1万名超の税理士および公認会計士が組織するわが国最大級の職業会計人集団であるTKC全国会と、そこに加盟するTKC会員事務所をシステム開発や導入支援で支える株式会社TKC等によるTKCグループの出版社です。
 税理士の4大業務(税務・会計・保証・経営助言)の完遂を支援するため、月刊誌や映像、デジタル・コンテンツ等を制作・提供しています。

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