💡この記事のポイント
☑2025年(令和7年)時点で女性就業者は全労働人口の40%以上を占める。
☑女性の働きやすい環境は育児や介護を支援する制度と柔軟な働き方ができる制度。
☑くるみん、えるぼしの認定を受けると女性にとっても働きやすい企業という評価を受けられる。
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- 1.労働人口における女性比率はどれくらい増えた?
- 2.女性が働きやすい職場になるための制度
- 3.くるみん・えるぼしとは? 認定を目指して女性活躍企業を目指そう
- (1) 相違点と認定のメリット
- (2) 認定されると期待できる効果
- (3) 申請の流れ
- 4.女性活躍企業の事例
- (1) 眼鏡会社
- (2) 医療法人・医療機器会社
- (3) サービス会社
- 5.まとめ
1.労働人口における女性比率はどれくらい増えた?
少子高齢化、人口減少による影響で、2025年(令和7年)の15~64歳の生産年齢人口は約7,400万人となっています。これは、生産年齢人口のピークだった1995年(平成7年)の約8,700万人と比べると、約1,300万人も減少したことになります。
そうしたなか、女性の働き手はこの30年間で右肩上がりに増加しています。1995年(平成7年)で約2,700万人だった女性の就業者数は、2025年(令和7年)で約3,100万人にまで増加しました。実に生産年齢人口の40%以上を占め、働き手としてなくてはならない存在となっています。
こうした背景から、政府は2016年(平成28年)に「女性活躍推進法」を制定しました。同制度では、企業に対して、女性の職業生活における活躍を促し、関連する取組みを義務化・推奨しています。
(1) 女性が活躍している会社かどうかはどうやって確認する?
そもそも女性が活躍している会社かどうかは、どのように見ていけばよいのでしょうか。ここでは主な指標を紹介します。
①管理職割合
政府は2025年(令和7年)時点における管理職の女性割合について、係長級30%、課長級18%、部長級12%を目指すとしています。
しかし、2025年(令和7年)度の「女性登用に対する企業の意識調査」において、2025年(令和7年)の女性管理職割合は11.1%でした。また、この割合は大企業が最も低く、小規模企業が最も高い割合で示されており、企業規模が小さくなるにつれ女性の管理職が多くなる構造になっています。
②育児休業の取得率
育児休業についても、その取得率がどれくらいあるかを確認することが重要です。
2024年(令和6年)度の厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」によると、女性の育児休業割合は86.6%。育児休業の取得対象となった女性労働者のうち、80%以上が制度を利用できていることになり、育児休業制度が一定程度浸透していることが分かります。
③男女の賃金格差
「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、男性の賃金を基準値100とした場合、女性の賃金指数は75.8。男女間の賃金格差は単純平均で24.2ポイントになっています。この割合が大きいほど賃金格差が大きい会社、と考えられます。
④入職・離職に関わる女性比率
厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」によると、一般労働者における女性の入職率は16.8%、離職率は16.0%でした。わずかに入職率が上回っています。この割合を基準に会社の入職率と離職率を見ておきましょう。
(2) 「女性活躍推進法」の活用
「女性活躍推進法」では、従業員数101人以上の事業主に対し、女性活躍の状況把握や課題分析を行い、一般事業主行動計画の策定と情報の公表を義務づけています。なお、従業員301人以上の企業には、「男女の賃金の差異」を情報公表することも義務化されました。なお、公表方法として、自社ホームページや厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」などで行うことになります。
国が情報の公表を通して管理職や採用者における女性割合などの可視化や行動計画を求めたことにより、実際に数値として公表することで、取引先や求職者など、第三者の目に触れる形で女性が活躍している企業かを判断できるようになったといえます。
2.女性が働きやすい職場になるための制度
(1) 育児休業・介護休業などの「両立支援制度」
「両立支援制度」とは、従業員が育児や介護を担う状況になっても、働き続けながら両立できる制度です。
女性によっては育児や介護を担う場面もあり、この制度が整っているかどうかは、女性が働き続けられるかどうかについても影響を及ぼす可能性があります。厚生労働省は法律の整備や助成金などを通じて、これらの「両立支援制度」に取り組む企業を支援しています。
利用者も多い育児休業と介護休業も「両立支援制度」に含まれます。育児休業は、「子どもが最長2歳になるまで、会社との雇用関係を続けたまま仕事を休み、育児に専念できる」制度です。休業中は、一定の条件を満たせば雇用保険から育児休業給付金が支給されます。介護休業は、「家族に介護が必要になったときに、会社との雇用関係を続けたまま仕事を休み、通算93日まで介護に専念できる」制度です。一定の条件を満たせば、休んでいる間は雇用保険から介護休業給付金も受け取れます。
(2) テレワーク制度・短時間勤務制度・フレックスタイムなどの「柔軟な働き方を実現するための措置」
女性にとって働きやすい職場づくりのために、テレワーク勤務や短時間勤務などの「柔軟な働き方を実現するための措置」ができる環境を整備する会社もあります。
女性従業員の環境に合わせて、フレックスタイムによって始業や終業時間を柔軟に変えることができます。自宅にいながら仕事ができるテレワークでは通勤時間を省略することができるため、時間の融通が利きやすい環境であるといえます。このように、短時間勤務やテレワーク勤務を導入することで、育児や介護と仕事を両立するための助けになります。
2025年(令和7年)時点では、コロナ禍から時間が経過したこともあり、従来の出社とテレワークを組み合わせた「ハイブリッド型」も普及しつつあります。このように、働き方ひとつとっても多様な選択肢が増えています。
3.くるみん・えるぼしとは? 認定を目指して女性活躍企業を目指そう
(1) 相違点と認定のメリット
くるみん・えるぼしとは、国から一定の条件を満たした企業に付与されるマークのことです。くるみんは「子育て支援に積極的な企業」、えるぼしは「女性活躍を推進している企業」にそれぞれ付与されます。認定されるとマークを自社のホームページやパンフレット、求人票などに使用することができ、採用やブランド力向上にも好影響を及ぼします。具体的な制度概要は、下記のようになっています。
■くるみん
次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣が認定する制度。
<プラチナくるみん>
くるみん認定企業のうち、より高い水準の要件を満たした企業は「プラチナくるみん認定」を受けることができる。
<トライくるみん>
2022年(令和4年)4月1日、くるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準の引き上げに伴い、新たに「トライくるみん認定」が創設された。トライくるみん認定の認定基準は2022年(令和4年)度の改正前のくるみん認定と同じ。
■えるぼし
・女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度。
・5つの評価項目(①採用、②継続就業、③労働時間等の働き方、④管理職比率、⑤「多様なキャリアコース」)について、基準を満たしている項目数に応じて取得できる段階が決まる。
1~2項目:1段階目
3~4項目:2段階目
5項目:3段階目
<プラチナえるぼし>
えるぼし認定企業のうち、より高い水準の要件を満たした企業は「プラチナえるぼし」として認定を受けることができる。
(2) 認定されると期待できる効果
くるみんやえるぼしの認定を受けると、企業にはどのような効果が期待できるのでしょうか。主な効果には下記のようなものがあります。
①職場環境の向上
認定取得に向けて職場の課題解決に取り組むことで、職場環境の改善が図られ、職員の満足度や働きやすさが向上します。
特に、育児と仕事の両立支援策が充実することで職員の離職率が低下し、人材の定着につながります。
②イメージの向上
認定を取得することで、社会的な評価が高まり、自社のイメージ向上につながります。顧客やその家族、地域の人々からの信頼が増し、地域社会における存在感が強まります。
③優秀な人材の確保
認定を取得することで、働きやすい職場環境が整備され、優秀な人材の確保につながります。
特に女性の活躍推進に積極的な姿勢を示すことで、女性医師や看護師などの専門職の採用が促進されます。
④コンプライアンスの強化
認定を取得するためには、関連する法令やガイドラインを遵守する必要があります。これにより、社内の法令遵守への意識が高まり、コンプライアンスの強化が図られます。
⑤経済的なメリット
認定を取得することで、各種助成金や補助金、低利融資の対象となる場合があります。
(3) 申請の流れ
くるみんとえるぼしの認定を受けるための手続き等の流れは、下記のようになっています。
①自社の現状を把握し課題を分析。
②一般事業主行動計画を策定し都道府県労働局へ届出、社内周知や外部公表を行う。
③行動計画に基づく取組を実施し、定めた数値目標の達成状況などを整理する。
④認定基準を満たしていることを確認し、所轄の都道府県労働局へ認定申請書類を提出する。
⑤労働局の審査を経て認定を受け、認定マーク(くるみん/えるぼし等)を名刺・求人票・ホームページなどで表示できるようになる。
4.女性活躍企業の事例
女性の働き手にとって働きやすい職場づくりは、各企業において具体的にどのような変化があったのでしょうか。本章では、異なる独自の取り組みを行い、女性活躍の場を広げた3社の事例を見ていきます。
(1) 眼鏡会社
くるみん認定に向けての段階的な取組
社長が任命したオーナーを中心に、各部署から性別も年代も異なるメンバーを集め、「ワークライフハーモニーチーム」を結成。総務担当者も加わり、くるみん認定を目標に、実態調査、勉強会、制度の整備等を行いました。
①
育休から復帰しやすい環境を整えることを目的に、
・会社と疎遠にならないよう働きかけ、
・男性の育児休業推進(少なくとも1日は取得することを義務化)、
・子ども会社見学会を開催しました。
②
・毎週水曜日を早帰りデーとし、全社員に呼びかけ普及させました。
・在宅制度を導入しました。
③
・子育て交流会開催(育休・復帰後の不安についてヒアリング、社内に共有し改善策を検討)、
・外部より講師を招き、妊娠・出産後の女性の健康確保について勉強会を開催、
・短時間勤務制度を小学校3年生の終わりまで延長、
・「妊活」のための勤務形態設置を行いました。
④
・子の急な看病による欠勤時に在宅でできる制度導入、
・妊活に関係する有休取得しやすい環境づくりを行いました。
⑤そのほか、必要に応じた制度の整備
・女性管理職登用のため、小チーム制を導入。
チームリーダーというポジションを作ることにより女性管理職の増加を図りました。
・短時間勤務者に不利にならない評価基準の制定
・多様な働き方の許容
▪介護で離職者を在宅パート社員で復帰⇒フル正社員に
▪夫の転勤のため福岡へ⇒在宅フル正社員に
▪都合で遠距離通勤になった⇒愛知・岐阜でも在宅
▪時短からフルへの復帰⇒フレックス制にて勤務
▪朝礼・終礼をリモートで行う
など
(2) 医療法人・医療機器会社
①勤務時間の柔軟化
最初に取り組んだのは、勤務時間の柔軟化です。まだ短時間正社員という制度がなかったときに、準社員制度を作り、「子どもを保育園に送迎し、掃除と洗濯もできるなら働ける」「8時始業でなく9時からなら働ける」という声に応えました。
「扶養の範囲内で働きたい」「子どもの用事で不定期に休みたい」という人には、パート、アルバイトでも働けるようにしました。これらの制度によって、ようやくスタッフが集まるようになりました。
②特別有給休暇の充実
次に取り組んだのは、特別有給休暇の充実です。従業員にアンケートをしたところ、子どもの病気や行事などで年次有給休暇が足りずに欠勤している人が多いことがわかり、従業員のニーズに応えて、「保育参観休暇」「授業参観休暇」などを増やしていきました。
子どもの預け先がなくて就職をあきらめる人のために、事業所内託児所も作りました。
(3) サービス会社
①短時間正社員制度
子育て期の女性を積極的に採用するため、2011年(平成23年)に短時間正社員制度を導入。週3日、1日4時間~の勤務を可能とし、個々人の状況に合わせて柔軟な運用を行いました。
②高齢者の雇用延長
60歳以上の定年退職者を積極的に採用し、2012年(平成24年)から一定の基準を満たせば65歳まで雇用延長。65歳以上についても会社が認める人には再雇用制度を適用しています。
③外国人の採用
2013年から検討を始め、2014年から外国人を積極的に雇用。面接シートや会議資料を英文表記する、通訳をつけるなどの対応のほか、帰国時の旅費の一部を補助しています。
④LGBTQ採用
2014年(平成26年)に履歴書の性別欄を廃止。社内にだれでもトイレを設置したり、LGBTの方のために新たに更衣室を設けるなどの対応も行いました。
⑤障がい者雇用
2017年(平成29年)から施設やハローワークからの紹介で、障がい者の積極雇用を開始。健常者と障がい者でチームを組み、互いにサポートし合う体制で業務を進めています。
⑥育児のための有給休暇制度
2013年(平成25年)から男性の育児休業促進のため、通常の年次有給休暇に加え2日間の有給の育児休業を設けています。
⑦ジョブシェア
短時間勤務の従業員が多いため細かくジョブ管理を行い、1人が急な休みでも別の人がカバーできる仕組みを整備し、安心して働ける環境となっています。
⑧1年中がんばらない制度
従業員一人ひとりの業務負荷を見える化し、がんばっている人を讃え、がんばりすぎている人には少し休みなさいよと、注意喚起できるような仕組みを検討中です。
5.まとめ
日本の労働力人口の減少は、中小企業にも大きな影響を与えています。その中で、就業者数が増加している女性の働き手にとって働きやすい環境を整備することは、生産性や効率化を高める効果も秘めています。
女性が企業でますます活躍する環境には、育児や介護といった「両立支援制度」や、「柔軟な働き方制度」などが挙げられます。これらの制度は、家庭との両立を求められる場合であっても、就業しやすいメリットがあります。こうした取り組みのほかにも、くるみんやえるぼしマークを取得することができれば、求職者などに働きやすい企業であることを周知することもできます。1つ1つの積み重ねによって、女性にとって働きやすい職場づくりを目指しましょう。
【参考資料】
・『事務所通信』改正育児・介護休業法特集号
・『Medical Practice News』2025年8月号
・厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)|厚生労働省」
・厚生労働省・福岡労働局「「えるぼし」 ・ 「くるみん」 認定取得を目指しましょう」
・厚生労働省・宮崎労働局「宮崎労働局|女性の活躍推進企業・子育てサポート企業」
・厚生労働省・岡山労働局「女性活躍推進法」
・厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」
・厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース|トップ」
・総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)9月分」
・内閣府男女共同参画局「令和5年度女性登用の加速化に向けた取組事例集(内閣府男女共同参画局)」
・内閣府男女共同参画局「女性活躍で企業は強くなる」
・内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 | 内閣府男女共同参画局」
・内閣府男女共同参画局「第5次男女共同参画基本計画(本文)」
・帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2025年)|株式会社 帝国データバンク[TDB] 」
・労働省婦人局「働く女性の実情」
・厚生労働省「女性の活躍推進や両立支援に積極的に取り組む企業の事例」
・厚生労働省「一般事業主行動計画の策定・届出等について|厚生労働省」
・厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」
・独立行政法人評価制度委員会「法人の取組事例」
記事提供
株式会社TKC出版 1万名超の税理士および公認会計士が組織するわが国最大級の職業会計人集団であるTKC全国会と、そこに加盟するTKC会員事務所をシステム開発や導入支援で支える株式会社TKC等によるTKCグループの出版社です。
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