2025年08月01日

自転車の交通違反に反則金制度が導入

自転車の交通違反に反則金制度が導入
【回答者】戦略経営者編集室

自転車の交通違反に対して「反則金(青切符)制度」が導入されると聞きました。当社の社員にも注意喚起をしたいのですが、詳細を教えてください。(金融業)

 これまで、自転車の交通違反に対する取り締まりは、刑事罰の対象となる悪質なもの(赤切符)は別として、軽微な違反は警察官による指導や警告にとどまることがほとんどでした。しかし、2026年4月からは自動車やバイクと同じく、自転車が交通違反を犯した場合にも青切符が切られることとなります。

 この制度導入の背景には、昨今の自転車による交通事故の増加が挙げられます。自転車が関与する死亡・重傷事故は、交通事故全体は減少しているにもかかわらず、増加しています。また、それらの事故のうち、約7割で自転車側の法令違反が確認されているという警察庁のデータもあります。

 今回の制度改正によって、自転車による違反にも反則金を科すことにより、こうした状況が改善されることが期待されます。

 対象となるのは16歳以上の自転車利用者です。主な違反行為と反則金は以下の通りです。

  • 携帯電話を使用しながらの運転…1万2,000円
  • 遮断機が下りている踏切への立ち入り…7,000円
  • 信号無視…6,000円
  • 通行区分違反(逆走・歩道通行など)…6,000円
  • 歩行者妨害…5,000円
  • 一時不停止…5,000円
  • 傘さし/イヤホン着用運転…5,000円
  • ブレーキ不良…5,000円
  • 無灯火…5,000円
  • 2人乗り…3,000円
  • 並進…3,000円

高まるレピュテーションリスク

 ここで気になるのは「歩道通行」でしょう。実際、今年4月から1カ月間募集されたパブリックコメントでは「自転車の歩道通行の禁止はおかしい」との意見が数多く寄せられました。

 そのため、自転車は車道通行が原則ですが、13歳未満や70歳以上が運転する場合や、車道が狭い上に交通量が多く危険な場合は、歩道を通行できるという現状の道路交通法のルールが、今回の制度で改めて示されています。ただし、猛スピードで歩行者を立ち止まらせるなど危険な走行をした場合には、6,000円の反則金が科せられることとなります。もちろん、青切符を切られた場合、すみやかに反則金を納付すれば、刑事手続きは行われず、前科がつくこともありません。

 企業にとっても、今回の制度を無視するわけにはいきません。とくに業態上、外回りの従業員などが自転車を利用する機会の多い企業の場合、特別な注意喚起が必要でしょう。近年の傾向から、携帯電話を使用しながらの「ながら運転」やイヤホンを着用しての運転は激増しています。しかもこれらは、自損事故はもちろん高齢者にぶつかって死亡させたりと重大な事故につながる危険性が大きい行為です。

 さらに、自転車での危険運転は新聞沙汰になるなどレピュテーションリスク(評判の悪化)も高くなっています。今回の制度改正を機会に、社有自転車の点検の強化と従業員の法令順守の徹底に取り組んでください。

掲載:『戦略経営者』2025年8月号

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